愛ある寝かしつけ*ネントレ2*
何で寝ないんだろう。
オムツを替え、おっぱいをあげて、足らない分のミルクをあげ、ゲップもさせた。
これ以上何が欲しいんだろうか??
なぜこの子は、満身創痍の母親に休みをくれないんだろうか?
私の頭は自身の睡眠のことだらけだ。
この鼻に付くリネンの消毒臭さが、愛おしい……
出産は21時、その後約1時間分娩台で安静に過ごした。
後陣痛も順調で、回復は良好。
疲れ果てた産後妊婦へのジュースのサービスも、ここで受けた。
もうこの分娩台を下りたら、“妊婦”もいよいよ終わりだ。
分娩室から個室に移り、興奮冷め上がらない。
初めての出産を経験したのだ。陣痛の瞬間から、今の今までの記憶を痛いくらい鮮明に脳裏に焼き付けるので必死。
「よくやった自分。よくやった赤ちゃん。」と
私の頭の中で、自分はもう20回は出産した。
一睡も眠れずだ……。
胸が熱く、自分への賛辞でいっぱいで
早くむくみが取れた赤ちゃんの顔を見たいなんて期待と、既にお祝い返しはどうしようかなんて。
そうこうして、あっという間に朝を迎えてあっという間に隣に赤ちゃんが運ばれてきたんだ。
今に至り正直キョトンとしてる。
最低限の化粧を済ませ、授乳口付きパジャマで赤ちゃんのイチ君と向き合う。
この赤ちゃんが入っているのは、ベビーコットというらしい。
簡単な作りなのによく出来ている。台をずらすと勾配が出来て、吐き戻しに良さそう……なんて物色する。
運ばれてきたイチ君はうっすら起き始めている。
そこで、ママの笑顔をして、ことさら優しく狭い頬を人差し指の背で撫でてみる。
まだ弾力も無い、ほやほやした肌にほころんだ。……のも束の間
イチ君は自己主張を始めた。
新米ママにはこの主張は、歓びだ。
「早く抱っこしたかった〜」
初めて、抱っこしたのがこの瞬間。朝の8時。
肌着がズレているけど、上手い直し方が分からない。だって相手が脆すぎる。
いいや、と半ば諦めとりあえず自分の気の済むまで抱っこさせてもらった。
泣き止むではないか。それに、いち君はウトウト……
もうそろそろ朝ごはんも来ることだし、眠いならベビーコットで寝てね……と、安易に移してみた。
「ふぅっっうんぎゃ!うんぎゃ!うんぎゃ!!!」
もう真っ赤。真っ赤というより、紫がかるくらいの赤信号。
ここでお腹トントンを試してみる私。
……でも……
“どの程度の強さで、どのスピードで、どれ位トントンすればいいの!? ”
まずそう思ったが
すぐさま、オムツとおっぱいへシフトチェンジした。
「泣かれるのが怖かったんだ。」